カテゴリー別アーカイブ: 食事のこと

乾熱と湿熱

前回、食材を加熱調理する際の「熱」の種類には、

「乾熱」と「湿熱」の2つがある…というお話をしました。

 

 

乾熱とは、食材に含まれている「水分」を奪いながら、

加熱する調理法のことで、「脱水調理法」と呼ばれます。

 
焼く、炒める、揚げる調理法がこれに当たり、

調理温度は100℃を超えます。

 
湿熱は、食材に「水分」を加えながら、

加熱する調理法のことで、「加水調理法」と言います。

 
蒸す、茹でる、炊く、煮る調理法がこれに当たり、

調理温度は100℃を超えません。

(圧力鍋は、例外です。)

 

 

以上のことから考えると、加熱温度が高く、

「陰性」の水分を奪う脱水調理法である「乾熱」の方が、

より「陽性」になり易い…ように思えますが、

実は必ずしもそうとは言えないのです。

 

 

理学療法科学学会が2010年に発表した論文では、

人体を熱エネルギーで刺激する「温熱療法」の内、

「乾熱式」(電熱式)のホットパックと、

「湿熱式」のホットパック

(加湿器で蒸したシリカゲルやベンナイト入りの袋)

とを比較した場合、「筋硬度」が、
湿熱式の方が乾熱式より有意に低下した…

という結果が得られています。

 

 

湿熱の方が、

より筋肉を軟らかくし、血管を拡張させる…というわけです。

 
つまり、湿熱の方が生体への熱伝導が大きいのです。

 

 

これは何故かと言うと、

生体では含水率の高い組織ほど加温され易く、

深部の筋組織まで伝導するには時間がかかる為です。

 

 

身体が凍えるような寒い日は、

ストーブや暖炉の「火」が直ぐに熱を伝えてくれますが、

そう長くは立ってられません。
そして、その場を離れるとすぐに冷えてしまいます。

 
その点、「温泉」なら長く浸かれることが出来て、

上がった後もポカポカと温かさが持続してくれます。
身体の「芯」まで温もった感じがします。

 

 

つまりは、「湿熱」の方が「乾熱」よりも

熱伝導という点に於いてはより「陽性」となる…と言えます。

 

 

そういうことから考えると、

お肉なんかはミンチにして先ず表面を加熱した後に、

オーブンにかけて、その上で長時間ソースで煮込んだ

「煮込みハンバーグ」などは、超陽性な代物だと言えるでしょう。
(お肉料理が、体質改善に「適」かどうかは別として…ですが。)

 

 

次回は、「陽(ひ)」について…です。

火(ひ)にかける

昨日は、全国的に寒波の影響で、

真冬並みの寒さに逆戻りしたような一日でした。

 
六甲山でも2cmの積雪があり、

芦屋川から臨んでも、奥の方の山が

真っ白になっているのが、見て取れました。

 
気温は冬に逆戻りでも、服装の方はそうもいかず、

カイロを貼って何とかしのいだ…という方も多かったようです。

 
こんな身体が冷える日は、

「温かいもの」が欲しくなります。

 
そこで、「体質改善その1」として、

食材を「火」にかける=加熱処理する…
というお話を。

 

 

食材にも拠りますが、

「生」のまま食べると身体を冷やす…ということは、

一般的によく知られた事柄です。

 
生のお魚を使う「お寿司」も

寒い時期は、売り上げが多少落ちます。

(それをカバーする為、考えられたのが

「節分の恵方巻き」なんですが…。)

 

 

そこで、煮たり焼いたりと、加熱することで

「陰性」から「陽性」へと変化させるわけです。

 

 

ここで、「加熱」するとひとくちで言っても

様々な方法が考えられます。

 

 

直接、「直火」にかける以外にも

焼く、炒める、揚げる、蒸す、茹でる、炊く、煮る…

などが挙げられます。

 
火にかける方法でも、

網焼きもあれば、バーナー、炙り、

グリルやオーブン、鉄板、陶板、フライパン等々の

器具を媒体にする方法もあります。

 

 

しかし、様々な調理法も

「熱の種類」に依って分類すると、

大きく2つに分けられます。

 

 

それは、「乾熱」と「湿熱」です。

 

 

焼く、炒める、そして「油」を使う、揚げる…が

「乾熱」になります。

 
そして、蒸す、茹でる、炊く、煮る…などの

「水」を媒体にして加熱するのが、

「湿熱」になります。

 

 

では、この乾熱と湿熱とでは、

どちらがより「陽性」へと体質改善させてくれるのでしょうか?

 

 

次回に続きます。

体質改善に3つの「ひ」

桜の咲くこの時期は毎年の事ながら、雨がよく降ります。
先週末に満開を迎えた芦屋川沿いの桜の花も、

この2~3日の雨でかなりの部分が散ってしまいました。

 
その上に、今日は朝から強い風が吹き、

気温も一気に下がってきました。

いわゆる「寒の戻り」というやつです。

 

冬から春へ、春から初夏へと行きつ戻りつする

「季節の変わり目」は、

何かと体調を崩し易い時期でもあります。

 
特に春先は「木の芽時」とも呼ばれ、

花粉症などのアレルギーとも合間って、

自律神経症状を発症される方が増えてきます。

 
以前にも書きましたが、

アレルギー症状などのある方というのは、

東洋医学的には「陰性体質」が強い…と診ます。

 
何とかしてこの体質を改善して行きましょう。

 
ということで、昔から

「体質改善に3つの「ひ」」と言われる方法があります。

 
これは、いわゆる「食事法」の一つですが、

その中には食材そのもの…だけでは無く、

その食材の調理法や加工法も含まれています。

 
さて、その3つの「ひ」ですが、

先ず1つ目の「ひ」は、「火」です。

 
「火」…つまり、食材を加熱処理するということです。
食材(例えば魚など)を「生(なま)」のまま食べると、

身体を冷やしますが、

「火」を通すことにより

「陰性」から「陽性」に変化させる…という訳です。

 
そして2つ目の「ひ」は、「陽」です。

 
つまり、お陽さま=「太陽」のことです。
たっぷりとお陽さまに当たった食材や、

太陽光で干した食材などを指します。

 
そして、3つ目の「ひ」が、「日」です。

 
これは食材を「日にち」を掛けて熟成させたもの…

という意味があります。
いわゆる「醸造、発酵」食品などが此れに当たります。

 
3つの「ひ」…「火」・「陽」・「日」。

 
つまりは、「熱」と「光」と「時間」が

陰性を陽性に変化させるという訳です。

 
※一つ一つの詳しい内容については、

次回から説明して行きます。

飲食失節(食べ方の問題)

食生活の乱れは、

「不内外因」のなかでも特に、「病因」となりやすく、

飲食の節度が無くなった状態を「飲食失節」と呼びます。

 
飲食失節には、大きく分けて次の3つが有ります。

 
・飢飽失常…食べ過ぎや、食が細過ぎる状態を指す。
・飲食不潔…読んで字の如く、不衛生なものを食べること。
・偏食…刺激物や味、性質の似通った食材を食べ続けること。

 

 

つまり、飲食の「質」と「量」の適、不適の問題です。

 

 

まず、「量」が少なすぎる「小食」は、

栄養が足りず(栄養失調)、

「気」・「血」・「津液」の不足や、

身体の抵抗力(正気)の低下を招きます。

 

 

 

また、「量」が多すぎる「大食・過食」は、
脾胃などの臓腑に負担がかかり、

気・血・津液の流れが滞ったうえに、

下痢や便秘などの消化不良を引き起こします。

 
「質」の偏り=偏食では、
・冷たいもの、甘いもの
消化機能の低下による下痢や腹痛。
身体を冷やす。

 
・油っぽいもの、味の濃いもの
消化不良による下痢や腹痛。

 

 

・辛いもの、熱いもの
乾燥や便秘を招く。

 

 

栄養に気をつけ、規則正しくきっちりと食べること、

過不足や好き嫌い無く食べること…。

 
「正しい食生活」は、健康な身体を維持する上での

基本中の基本…であることは、誰もが認める

「あたりまえ」の事柄ですが、いざ実行しようとすると、

なかなか大変な作業ではあります。

 

夜型となった現代人にとっては、決められた時間に

きちんと食事をすること自体が難しくなっています。

 
外食も多く、どうしても味の濃いものや

油っぽいものを摂りがちです。

 
また、巷にグルメ情報も氾濫し、ついつい乗せらて

食欲中枢が刺激されてしまいがちです。

 

 

また、ストレスによる「どか食い」や「深酒」、

無理なダイエットなどによる偏った食事パターン…など

「あたりまえ」な食生活とは、ほど遠いものとなりがちです。

 
食べることは、自らが「生きる」為に、

他の「いのち」を感謝して「いただく」こと。

 
この原点に立ち返って、

まずは「腹八分目」を心がけてみましょう。

立春(春立ちぬ)

今日、2月4日は24節気の一つ「立春」です。

 
暦の上では「春」なのに、まだまだ寒いよね…。
何てよく言われますが、それもその筈。

 
立春とは本来、「寒さが増すことが無くなる日」とされ、

これ以上寒くなることは無い、

つまり寒さが底を打った…ということを報せる日だからです。

 
逆に言えば、今が寒さのピーク。
本格的に暖かくなるには、まだまだ時間が必要です。

 
そんな訳で、これからしばらくは寒さ対策や

「冷え」などについて書いていきたいと思います。

 
でもその前に、昨日の続きを…。

 
節分の日に、恵方巻きを食べるという風習について…ですが、
いろいろ調べてみると、その起源は諸説有って、

またそのどれもが真偽の程は、定かでは無いようです。

 
ただ、大正時代から戦前、戦後を通して、

前述の大阪の商人たちの「幸運巻きずし」を根拠に、

繰り返し同様のキャンペーンは行われていたそうです。

 
土用の丑の日の「鰻」に対抗して、

節分の日に「巻きずし」をみたいな感じで…。

 
そのいずれもが、やはり大阪の鮓商組合さんと海苔組合さんが

中心となっての催しだったそうです。

 
戦後には、あのタコ焼きの「たこ昌」の社長さんが

海苔組合の組合長を兼務されていた時に、

大々的に宣伝されたことがあったようです。

 
しかし残念ながら、いずれの場合も

一般に浸透して、定着するまでには到らずに、

戦後一旦廃れてしまい、

70年代に何度目かのチャレンジ(リベンジ)で

ようやく「日の目を見る」ことが出来た…というわけです。

 
本当、恐るべし「浪花の商人(あきんど)」の執念…

といったところでしょうか?

 
戦前まで一般に定着しなかった

「巻きずしの丸かぶり」ですが、

ある意外な場所で人気を博していたそうです。

 
それは、「花街」です。

 
船場の旦那衆のお座敷での「お遊び」としてです。

 
一気飲み為らぬ、一気食い。

 
恵方を向いて、一言も発せずに太巻を丸かぶりしてみせる、

ちょっと粋がった若旦那を囃し立てる芸者衆。

 
そんな感じだったのかもしれません。

 
もし、そんなところが本来の起源?ならば、

「縁起物」や、「邪気払い」なんて難しく考えずに、

「節分の日の楽しいイベント」…ぐらいに

軽〜く考えて良いんじゃないでしょうか?
(のり巻きだけに、軽い「ノリ」で…。)

 
次の日に「立春」を迎えるにあたって、

太巻を一本、丸かぶりすることが出来る…ことを喜ぶ。

 
そして感謝する。

 
そんな行事として、全国に広まってくれたら良いのになぁと

関西人としては密かに願うのであります。
(その方が、高級食材が売れやすい?ってか。)

節分に「恵方巻き」?

今日、2月3日は「節分」の日です。
「立春」の前の日、「大寒」の最後の日。
冬から春へと「季節」を分ける…という意味合いもあります。

 
節分の日には、昔から様々な行事が行われてきました。
「福は内、鬼は外。」と言って行う「豆まき」。
あと、歳の数だけ「豆」を食べたり、イワシを食べたり。
地方によっては、柊(ひいらぎ)に

イワシの頭(目)を刺したのを玄関先に吊したり…。

 
そんな中、近年全国的に知られるようになったのが、

「恵方巻き」です。

 
その年の「恵方」を向いて、黙って巻き寿司(太巻)を

一本まるごと食べる…というもので、
もともと関西地方の風習だったものが、

大手コンビニのセブンイレブンによって

全国に広まった…。と言われています。

 
(「恵方巻き」という呼び方もセブンイレブンが始めたもので、
もともとは普通に、「巻きずしの丸かぶり」と呼ばれていました。)

 
が、TV等でそんな話しを耳にする度に、

「事情通」?の関西人にとっては

「何だかな〜。」という思いが湧いて来ます。

 

 

 

「巻きずしの丸かぶり」
それは、ある日突然、何の前触れも無くやって来ました。

 

 

70年代前半、当時中学生(小6だったか?)だった私は、

実家の近くにある市場のお寿司屋さんに貼ってある

一枚のポスターに目が止まりました。

 
そこには、「幸運巻きずし」という文字が、

デカデカと書いてありました。

 
何でも、江戸時代の末期には大阪の商人たちが、

商売繁盛と厄払いの為に、

七福神に見立てた七種類の具材を巻いた太巻を

節分の日に食べた(ことがある。)らしい…。ということで、

そのポスターの下の方に

「大阪のり問屋協同組合」と記されているのを、

子供心に何となく胡散臭く感じたのを覚えています。

 
その後、オイルショックの影響か、

くだんの「のり組合」さんが一気に攻勢をかけて?

様々なイベントやキャンペーンを行った結果、

マスコミにも取り上げられるようになっていきました。

 
でも、普通に我が家の食卓に上がるようになったのは、

80年代になってからだと思います。

 
その当時は、「生もの」を食べると身体が冷えるということで、

どうしても冬場(2月)に売り上げが落ちてしまう

「お鮨」の売り上げを何とかしたいという思いで、

鮓商組合が海苔組合と結託して、

そのころ同様な思いでチョコレート業界が仕掛け、

そして成功させたバレンタインデー(2月14日)に、

チョコレートを贈る…というキャンペーンをヒントに、
考えだされたものなんだよ…と

まことしやかに噂されていた記憶があります。

 
※書きだすと思いの外、長くなりそうなので、

続きは明日に。

七草粥(ななくさがゆ)

お正月の間、

久しぶりに家族が集まってご馳走を戴いたり、

来客があって外食や飲酒を繰り返したりと、

何かと胃腸に負担を掛けがちになっています。

 
そんな疲れもあってか、

便秘がちになったり、風邪を引いたり、

はたまた「ぎっくり腰」や「こむら返り」などの症状で

来院される患者さんが、多く見受けられます。

 

 
昨日の1月7日は、

七草の節句(五節句の一つ)で、

七草粥を食べる日とされています。

 

 

古来中国では、

七日正月といって七日間を一つの節目としていました。

 
元旦は鶏の日、2日が狗(犬)の日、3日が猪の日、

4日が羊の日、5日が牛の日、6日が馬の日、

そして7日が、人の日として易を立て、

8日に穀を占って新年の運勢を見立てていました。

 
そして唐の時代になると、

 

7日目の人の日「人日(じんじつ)」に

七種類の若菜を入れた七種菜羹(ななしゅさいのかん)という

汁物を食べて、無病息災を祈る習慣が広まりました。

 
この中国の風習が日本に伝わり、江戸時代になって

1月7日に七草粥を食べる習慣が一般化した、

と言われています。

 
1月7日は、松の内最後の日。
お正月のご馳走やお酒で疲れの出ている胃腸の為に、

消化の良いお粥を食べて、胃腸を休めると同時に、

冬場に不足しがちな青菜を採って栄養補給する、

という意味合いもあります。

 

 
○春の七草

 
・セリ…鉄分が多い。食欲を増進させる。
・ナズナ…解熱、利尿作用がある。
・ゴギョウ…風邪の予防、解熱作用。
・ハコベラ…ビタミンAが多い。腹痛に効果がある。
・ホトケノザ…食物繊維が多い。
・スズナ…ビタミン類が豊富。
・スズシロ…消化を助ける。風邪の予防にも。

 

 

昔の人の考えは、本当に理にかなっています。

 

 

ただ、七草粥も「春の七草」で無ければ意味が無いのか?

と言えば、そうではありません。

 

 

江戸時代には、草によって何回噛むか…

何てことまで言われていたそうですが、

七草粥の由来も元々は「七種菜羹」で、

七種類の若菜が入った汁物を戴く…

という処から来ていますから、

必ずしも春の七草にこだわらずに、

七種類(多く)の新鮮な野菜を摂取する…と
考えて頂いて良いかと思います。

おはぎとぼたもち

秋のお彼岸には「おはぎ」を、
春のお彼岸には「ぼたもち」を
仏様にお供えします。

 
漢字にすると、「お萩」と「牡丹餅」。
つまり、その季節の花を模して呼ばれていて、

基本的に中身は同じ物です。

 
「お萩」と「牡丹餅」はそれ以外でも地方によっては、

 
・小豆のあんが、ぼたもち。
きな粉をまぶしたものが、おはぎ。

 
・こしあんが、ぼたもち。
つぶあんが、おはぎ。
※小豆の収穫時期の秋は穫れたてで、

皮が柔らかいので、つぶあんのままで。
冬を越して固くなった皮は、そのまま食べれないので、

潰してこしあんになったようです。

 
・丸くて大きいのが、ぼたもち。
小ぶりで長めが、おはぎ。
※花の形に似せて。

 
・お米が餅のようになっているのが、ぼたもち。
粒々が残っているのが、おはぎ。
のように区別されたりします。

 

 

 

もともとは、日本古来の太陽信仰(天照大神)に基いて、

太陽が真東から出て真西に沈む春分、秋分の日に

「かいもち」として、神様に捧げたものでした。

 
それが、お彼岸の中日が春分、秋分の日になるという

仏教の影響を受け、また「邪を払う」とされる

「赤色」の小豆で作られたお餅が、

お彼岸のお供物となりました。
※小豆には利尿作用があり、

冬の冷えや、夏に摂り過ぎた

水分調節の役割も果たしているとも考えられます。

 
また、サンスクリット語のbhukta(ご飯の意)が、ぼたに。
mridu、mudu(柔らかい)が、もちとなって

「ぼたもち」になったという説もあります。

 
以上、おはぎとぼたもちでした。

はもの梅肉和え

祇園さん、天神さんと聞いて関西の人が

直ぐに連想するのが、「鱧(はも)料理」です。

暑気払いに食す、関西の夏の風物詩と言えます。

 

 

はも落とし、はもしゃぶ天ぷらなども有りますが

何と言っても湯引きにして、「梅肉和え」にするのが、

最もポピュラーな食べ方です。

 
関西では、お馴染みの「はも料理」ですが、

関東ではあまり見かけません。

何か料亭みたいな所でしか食べることが出来ない
「高級魚」のイメージで捉えられている感じです。

 
関東で広まらなかった理由としては、

伝統的な「骨切り」という「技術」が江戸前の板前さんに

伝承されなかった、確立されなかった為に、

はもを食するという「文化」が根付かなかったから…。だと言われています。

 
では逆に、関西(特に大阪と京都)では何故、

「はも文化」がずっと続いているのでしょうか?
それには、気候が関連している様に思われます。

暑さの質、関西特有の「蒸し暑さ」です。

 

 
全国的には、夏を乗り切る為の食品としては

「鰻の蒲焼き」が最もポピュラーです。

それは、関西でも同じです。
たしかに夏バテの際に精をつけるには、

あの脂の乗った、こってりと味の濃い蒲焼きの香りは、

何とも食欲をそそります。

 
しかし、どうし様も無くじっとりとした蒸し暑さの時は、

逆にあの香りが鼻につき、もたれてちょっと遠慮したくなったりもします。

 
それならば…、湯引きして脂を落とし、

梅肉で和えた「はも」をすっきり、さっぱりと戴くのが関西風と言えます。

 
鰻の蒲焼きが、精をつける為のものならば、

はもの梅肉和えは「湿熱」で弱りがちな「脾胃」に優しい食べ物です。

あと、豆腐や湯葉なんかの大豆食品も、そうです。

 
あぁ、それに素麺(三輪、揖保の糸)と

キリッとした辛口の冷酒(灘、伏見)が揃えば、

夏の暑さもなんのその…かな?

からだも衣替え~梅雨編~

連日、真夏並みの暑さが続いていましたが、今日からは、雨模様。

このまま、梅雨へと突入して行くのでしょう。

今年はエルニーニョの影響で冷夏になる。

との予報でしたが、そんな事は無さそうですね。

梅雨も長い様ですし…。

 

梅雨の時期は湿度が高い状態が続くことから、

「湿熱」が汗腺を覆い身体の中に余分な水分を留め易く

「むくみ」や「だるさ」または
「冷え」などといった症状を引き起こす原因となります。

このような状態を改善する為に身体の中にある余分な水分や老廃物を排出させる

「軽い運動」や「ゆっくりとお風呂に浸かる」などといった「汗をかく」ことも必要です。

(いわゆるデトックスですね。)

 
また、食材としては、
・わさび
・ショウガ
・みょうが
・紫蘇
・にんにく
などの香りの強い野菜は、

湿気で塞がった毛穴を開く効果があると言われています。

 
また、クーラーで冷やしたり、

冷たい物の取り過ぎで胃腸が弱っている時などは、
・人参
・ジャガイモ
・かぼちゃ
・長芋
・玄米
などの食材を煮たり蒸したりしたものと組み合わせても良いかと思います。
発汗を促し、食欲不振時にもオススメです。

 
何れにしても、これからの高温多湿の気候を

体温調節や食事などに留意して上手に乗り切りたいものです。